ブランディングの知識を深める用語集

ブランディングの知識を深める用語集のイメージ

会社や商品のイメージ戦略を効果的に展開していくためには、ブランディングについて理解を深めておくことが大切です。
しかしブランディングに関する専門用語が多く、似たような言葉を混同してしまうというケースも珍しくありません。
誤って覚えていた用語をうっかり仕事で使うと、コミュニケーションエラーの原因になってしまいます。

そこで、こちらの記事ではブランディングに関する用語で、よく見聞きするものをご紹介します。

 

 

基本的な用語

ブランディングに関する用語解説を行うにあたって、まず押さえておきたいのは「○○ブランディング」という形で用いられる言葉たちです。
これらはブランディングの基本的な知識となっているので、しっかりと意味を把握しておきたいところです。
ブランディングの基礎用語としては、以下の7項目が広く知られています。

 

ブランディング/Branding

ブランディングが単独の言葉として用いられている場合は、
「ターゲット層からの信頼感や共感を得て、ブランドの価値をイメージとして定着させる取り組み」
「市場において他社との差別化を図り、ブランドの価値を明確にする取り組み」
という事を指しています。

ブランドとは商品デザイン・企業ロゴ・商標・キャッチフレーズなど様々な要素で構成されています。
ブランディングではこうした要素を効果的に組み合わせ活用し、ブランドの価値を高めていきます。

 

コーポレートブランディング/Corporate branding

コーポレートブランディングは企業全体の存在価値を高め、消費者やステークホルダーから支持される基盤を構築するための取り組みのことです。
ブランディングがあくまでブランドに限定したマーケティング方法であるのに対して、コーポレートブランディングは企業全体のイメージ戦略である点に注意しておきましょう。

また、コーポレートブランディングにおいては企業ブランドの構築が重要になるため、ブランディングが結果的にコーポレートブランディングの促進に貢献することにもなります。
コーポレートブランディングでは利益向上だけでなく、どのようにして社会貢献に関わっていくかの姿勢も大切です。

 

インナーブランディング/Inner Branding

インナーブランディングとは社内に向けて行われるブランディングであり、社員やステークホルダーに企業理念やブランドの理解を深め、愛着をもってもらうことが主目的です。
インターナルブランディング(Internal branding)と呼ばれることもあるので、併せて覚えておきましょう。

エンドユーザーである消費者に対して効果的にブランディングを行うためには、まず社内での土台を固めておく必要があります。
インナーブランディングでは社内外への広報やセミナー、さらには人事評価や報酬制度といった取り組みに組み合わせて、ブランドの一貫性を高めていきます。

 

採用ブランディング/Employer Branding

 

採用ブランディングとは、就活生や転職希望者に向けて企業が行うアプローチであり、自社の強みや魅力をアピールすることで知名度やイメージ向上を図ります。
単に企業イメージをクリーンや強いものにするだけではなく、ターゲット層の求職者に「この企業で働きたい」と思ってもらうことがポイントです。

また、採用ブランディングでは就活生や転職希望者をメインターゲットとしていますが、当人たちを取り巻く友人・家族・学校教員なども対象になり得ます。
アプローチの場は、企業説明会・公式ホームページ内のコンテンツ・SNSなど幅広く多様化しています。

 

パーパスブランディング/Purpose branding

自社がこの世に存在する意義を認知してもらい、ブランディングの効果を最大化させることをパーパスブランディングと呼びます。
パーパスブランディングの対象は消費者・社員・取引先やステークホルダーなど多岐に及ぶので留意しておきましょう。

パーパス(Purpose)には「目的・意図」といった意味があり、パーパスブランディングでは企業が事業を展開する上で根本的な目標としている理念を一文で表すのが基本です。
例えば、Googleでは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにする」、TOYOTAでは「未来のモビリティ社会をリードする」というパーパスが打ち出されています。

 

地域ブランディング/Regional branding

地域ブランディングは地元住民・自治体・地元企業やプロモーション会社などが地域の魅力を発信して、ブランド化によってイメージアップを図る取り組みです。
「まちおこし」「地域活性化」などの言葉で言い換えられることも多いので覚えておきましょう。
地域ブランディングでは、地域の名産品・観光名所・独自文化などをプロモーション材料としてアピールするのが一般的です。

地方での人口流出を食い止めたり、地場産業や観光産業の活性化に繋げるのが主な目的となります。

 

パーソナルブランディング/PersonalBranding

企業・組織に属している個人が自分自身をブランド化して、個人単体や所属先のイメージ向上に繋げる取り組みがパーソナルブランディングです。人にはそれぞれ得手不得手や相性があるため、顧客から「この仕事はあの人にぜひ頼みたい」といった要望が出ることも珍しくありません。
個人が専門知識・スキル・パーソナリティを活かして魅力を発信することで、個人はもちろん、所属組織の信頼やイメージが向上します。

また、人脈の拡大や社員のモチベーションアップなど、企業にとってのメリットも多い取り組みと言えるでしょう。
基本的には、従業員が主体的に行うものであるため、企業としてはそれをサポートする体制・環境を整備することが重要です。

ブランディングに関連する語句

上記で解説したブランディングを展開していく中で、普段の仕事ではあまり聞かないような関連用語が飛び交う事も少なくありません。
ここからは、各種ブランディングに関連する語句で覚えておくと便利なものを厳選して紹介していきます。

コーポレートアイデンティティ(CI)/Corporate identity

企業の特徴・個性・理念といった要素を可視化して消費者にプロモーションを展開し、消費者に共通したイメージで企業を認識してもらう取り組みがコーポレートアイデンティティ(CI)です。
ブランドロゴ・コンセプトメッセージ・社名デザインなどビジュアル的な訴求力が強い要素で構成されています。
外部へのアプローチはもちろんのこと、社内での価値観共有や連帯感向上といった効果も期待できます。

 

マインド アイデンティティ(MI)/Mind Identity

マインドアイデンティティ(MI)とは、企業の存在意義・あるべき姿を分かりやすく言語化したものです。
日本語でいうところの「企業理念」にあたります。
経営者一人が唱えていれば良いという訳ではなく、全従業員が共通のビジョンとして掲げることが重要です。

マインドアイデンティティは以下の5つの要素で構成されます。
・ミッション:企業が日々果たしていくべき使命
・ビジョン:社会的意義・価値貢献を伴って実現したい未来像
・バリュー:その企業やブランドにしかない独自の価値や行動指針
・スローガン:市場や消費者に対して、企業が理念を伝えるための簡潔な言葉
・スピリット:ミッション・ビジョン・バリューを達成するために従業員が取り組むべき行動指針や心意気

 

ビヘイビア アイデンティティ(BI)/Behavior identity

ビヘイビア アイデンティティ(BI)は従業員がマインドアイデンティティに基づいて取り組むべき行動規範です。
日常業務やマネジメントにおいて「その企業らしさ」を体現するために設定されます。
各従業員が企業内での行動について明確な判断基準を設けることで、社内での共通意識が高まりブランドとしての一貫性が生まれます。

現場での接客を伴うような業態であれば、ビヘイビアアイデンティティに基づいたサービスの提供が消費者の企業イメージに直結します。

 

ビジュアル アイデンティティ(VI)/Visual idntity

企業が打ち出しているメッセージや企業理念などの言語をデザインに落とし込んで可視化したものをビジュアルアイデンティティ(VI)と呼びます。
ブランドロゴ・特定の書体(フォント)で書かれた社名・グラフィックなどアプローチに活用できるデザインは様々です。
Apple社の一口かじられたリンゴのロゴや、顔に見立てられたAmazonの企業マークなどが一例として挙げられます。
一貫した世界観を展開することで、消費者にブランドイメージを浸透させるのが目的です。

 

ブランドエクイティ/Brand equity

ブランドエクイティは「ブランドそのものが持つ資産価値」のことを意味しています。
例えば、アパレル・アクセサリー業界では同じ素材や工法を用いた商品でも、ブランドによって販売価格が大きく異なるというケースは珍しくありません。
これはブランドエクイティに差が生じているからです。

ブランドエクイティは以下の5つが主な構成要素となっています。
・ブランド認知:ブランドそのものの知名度
・ブランド連想:ブランド名を見聞きした消費者が想い浮かべるもの
・ブランドロイヤリティ:消費者のブランドに対する愛着・信頼
・知覚資産:ブランドの商品に対する消費者からの品質評価
・その他の資産:特許・商標・クライアントとの関係

 

ブランドパーソナリティ/Brand personality

ブランドが持つ特性や印象といった要素を、人の個性に見立てるという考え方がブランドパーソナリティです。
経営的な観点では「顧客からどのように見られているか」という概念を表すとされています。
ブランドコンセプトの策定時にブランドパーソナリティも明確にしておくケースが多く、インナーブランディングにも大きな影響を及ぼす要素です。

 

ブランドロイヤリティ/Brand loyalty

特定のブランドに対して、消費者が持つ忠誠心や愛着をブランドロイヤリティと言います。
競合他社が類似品を販売したとしても、ブランドロイヤリティが高い顧客は自社の商品を購入してくれる可能性が高いです。
似たような用語に「顧客ロイヤリティ」というものが挙げられますが、これはブランドに拘らず企業全体に忠誠心や愛着を持つ顧客を指すので注意しましょう。

ブランドロイヤリティの向上はリピーターの確保・顧客単価の向上・口コミの展開といったメリットが期待できます。

 

ブランドコミュニケーション/Brand communication

ブランドコミュニケーションは、企業が持つ価値を消費者に知ってもらう取り組み全般を指す言葉です。
ネットや紙媒体での広告活動やショールームの展開、キャンペーンやライブイベントの開催などが主なアプローチ方法として知られています。
なお、ブランドコミュニケーションは企業の一方的な広告活動ではなく、アンケートや現地での反応などによって消費者との双方向での情報交換が重要です。

 

コミュニケーションデザイン/Communication design

企業が消費者との関わり方を見直し、適切なコミュニケーション方法を策定するのがコミュニケーションデザインです。
インターネットが普及して情報が溢れている現代社会では、自社に対する消費者の「無関心」を「興味・関心」に変えることが重要になります。コミュニケーションデザインの根本的な考え方は「人と人との繋がり方を設計する」という事であり、その対象は社内外を問いません。

プロモーション活動を見直して成功した事例もあれば、社内の人材改革に着手して成果が出たという事例もあります。
アプローチ方法は多種多様なので、自社の正確な現状把握と適した打開策の考案が求められます。

 

カスタマージャーニーマップ/Customer journey map

カスタマージャーニーマップとは、消費者が商品やサービスと関わる中で取る行動の履歴全体をマッピングによって可視化したものです。
一般的には企業の典型的な顧客像である「ペルソナ」と、企業が顧客に行き着いて欲しい最終的なゴールを設定して一連のプロセスを想定します。
カスタマージャーニーマップは顧客のサービス体験価値の向上や接点強化、各プロセスにおける課題点の洗い出しなどに有効です。

 

各種用語を理解して効果的にブランディングを展開しよう

ネット通販や動画コンテンツが一般的となり、消費者の利便性は大きく向上しました。
その中で自社の商品やサービスを利用してもらうためには、ブランディングによるイメージ戦略が重要なポイントです。
その対象はターゲットとしている消費者だけでなく、社員・取引先・ステークホルダーなど多岐に及ぶこともぜひ意識して、相乗効果や長期的なブランド形成にお役立てください。

専門用語の多いブランディングですが、意味や意義を理解した上で効果的にブランディングを展開していきましょう。

 

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