ブランディングにおけるターゲティングの重要性

ブランディングにおけるターゲティングの重要性のイメージ

本記事では、ブランディングにあたって、とても重要な「ターゲティング」について説明します。
「今回もカタカナ用語?」と思われるかもしれませんが、なるべくわかりやすくなるよう、用語の解説を交えながら進めていきます。

ターゲティングの重要性とポイント

まず、今回の記事の表題にもなっている「ターゲティング」とは何かについて解説します。
ターゲティングとは、「自社の事業または製品・サービスの見込み客の客層を決めること」です。
ブランディングにおいては、ターゲティングがその成功と失敗を分ける重要なポイントである、といわれています。
また、どんな層に見込み客を絞るかについては、ブランド・ターゲットとセールス・ターゲットという2つの考え方があります。

 ①ブランド・ターゲット

ブランド・ターゲットとは、企業が設定したブランドにとって理想的な顧客層のことです。
自社の顧客になってほしい人、こういう人に自社の製品を使ってほしい……もし自社でCMを作ると考えてみたらわかりやすいかもしれません。
CMに起用したい人や、その人の生活環境、流したい音楽のイメージなどが浮かぶでしょうか。
企業ブランドにとって、良い印象をあたえてくれる人は、企業のブランディングにおいて目指したい顧客ターゲットです。

 ②セールス・ターゲット

セールス・ターゲットとは、企業ブランドやブランド・ターゲットへの憧れ、あるいは製品・サービスの品質や使い勝手の良さなどから、その企業の商品やサービスを購入してくれる顧客層のことです。
例えば、作業服や安全靴の「ワークマン」は、主に職人向けのお店でしたが、高機能、高品質であることが若者や女性にも受け、一般の方向けの「ワークマンプラス」も開業し大ヒットしています。
もし、ワークマンが、最初から手広く一般の方にもターゲットを設定していたらどうでしょうか?
おそらく今のように広く売れるということはなかったのではないでしょうか。
「職人」とターゲットをしっかりと定めて、彼らが求める商品を提供したことで、「プロが求める高品質の商品がある店」というワークマンのブランド化につながりました。
だからこそ、ワークマンの基本的な方針はそのままに、新しいセールス・ターゲットができたのです。

ターゲティングとセグメンテーション、ポジショニングの違い

 

ターゲティングを行うにあたって、欠かせないセグメンテーションとポジショニングについても解説しましょう。

今回のテーマ「ターゲティング」とよく一緒に語られるのが、
・セグメンテーション
・ポジショニング
という言葉です。

この3つの言葉が、同じように語られるのには理由があります。
経営学者であるコトラーが提唱した「STPマーケティング」という手法において、セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングという流れで行われることが多いからです。

STPというのはセグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングの頭文字から取られています。ターゲティングの前後にあるセグメンテーションとポジショニングについて、言葉の意味を見ていきましょう。

 ①セグメンテーション(Segmentation)とは

セグメンテーションとは、不特定多数の市場の中で、顧客を属性に応じて細かくグループ分けしていくことです。

例えば、
・性別・年齢、住んでいるエリア
・家族構成
・趣味
・価値観
・ニーズ
・商品・サービスの使用方法や購買行動が似ている
などなど……

それぞれのグループを「セグメント」といいます。英語で「部分」や「分割」をあらわす言葉です。
ターゲティングでは、セグメンテーションの後、どのセグメントを見込み客とするかを決めます。

しかし、セグメンテーションの時は、ターゲティングのことは考えず、まず属性別に分割しましょう。セグメンテーションをターゲティングありきで行ってしまうと、思い込みが大きく結果を分けてしまうからです。

 ②ポジショニング(Positioning)とは

ターゲティングの次に行うのが、ポジショニングです。
ポジショニングとは、ポジション、つまり立ち位置を決めることを言います。
誰に対しての立ち位置かというと、ターゲティングした顧客層に向けてです。彼らが「これなら欲しい」と思う要素を洗い出し、競合より魅力的に見えるアピール方法を考えます。

ターゲティングした顧客層に、自社製品・サービスが最も「刺さる」決め手は何でしょうか?
様々な優位性が思い浮かぶかもしれませんが、最も訴求したい特徴を絞り込み「◯◯なら自社」という印象を植え付ける必要があります。

そこでターゲット顧客に対しての優位性が思い浮かばないのであれば、ターゲティングから見直す必要があります。

 

まとめ

ブランディングにおけるターゲティングの重要性を解説しました。
ターゲティングは、自社の事業または製品・サービスの見込み客の客層を決めるという、非常に重要なポイントなのですが、なんとなく決めてしまってはいないでしょうか?
思い込みをいったん取り外し、顧客属性によるセグメンテーションを行ってから、自社ブランドを使ってほしいと思う層を探すことで、新たな見込み客を見つけてみましょう。