注目を集めるSDGsブランディングとは?

注目を集めるSDGsブランディングとは?のイメージ

最近「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」という単語を聞くことが増えました。実は、企業ブランディングにおいてもSDGsの概念はいまや切り離せないものになっているのです。本記事では、SDGsとブランディングについて、その関係性やブランディングへの生かし方、メリットを解説いたします。

ブランディングとSDGsの関係性

なぜ、企業はブランディングを行うのでしょうか。
自社のファンを増やすことによって、最終的には会社に利益をもたらすためです。
しかし、自社の利益だけ追求している企業は、いくらブランディングをしていても、自分勝手だというイメージを持たれてしまいます。

なぜなら、企業は社会の公器-つまり、自社と顧客だけでなく、社会があってはじめて存在できるものだからです。企業が存続するためには、利益を上げることは確かに大事ですが、その分社会に対しても貢献する責任があるといえます。また、地球温暖化をはじめ、あらゆる課題を抱えている現代社会において、消費者は、こうした課題にどのように企業が向き合っているのか、これまで以上に敏感になっています。
しかし、社会貢献=コストと見なす経営者も少なくありません。そんな中、世界的な問題の解決と、経済的な価値を両立させるものとして注目されているのが、SDGs(エス・ディー・ジーズ)です。

SDGsとは「Sustainable Development Goals(サスティナブル・ディベロップメント・ゴール 持続可能な開発目標)」の略称。2015年9月の国連サミットで採択され、2030年までに達成すべき17の目標に対する169のターゲットを掲げています。
その内容は、貧困や飢餓、健康や教育、環境問題など、いずれも未来の社会に向けて世界全体で取り組んでいかなければならないものです。
つまり、企業がSDGsに取り組むことは、おのずと世界全体の問題、社会貢献に取り組むという姿勢を示すことになります。

この姿勢を貫くことによって、企業の利益だけを追求するネガティブな企業イメージを払拭することができます。
これからの企業ブランディングは、SDGsを取り入れさらに発展させていくことが成功の鍵なのです。

SDGsで企業のブランディングが加速

 

SDGsを取り入れたブランディングは、これまで積み重ねてきたブランディングと決して相反するものではありません。
例えば製造業であれば、製品の品質にこだわってブランディングをされている企業は多いのではないでしょうか。
そこにSDGsを取り入れるのであれば、以下のような環境への配慮が考えられます。
・自社で作る製品の原材料を見直して、リサイクルできるものにし、さらに製品自体もリサイクル可能なものにする
・環境問題に対して自社で太陽光発電などの再生可能エネルギーを取り入れる
・照明をLEDに替えて省エネをはかる
・廃棄する材料を使って別の商品を開発する

 

また、「特にSDGsについてやれることが思いつかない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなことはありません。
どんな企業でも積極的に取り組みたいのが、ジェンダーや質の高い教育、健康と福祉問題です。
例えば、
・女性や非正規雇用の方の待遇格差の解消
・残業を削減し、長時間労働を是正する

・リモートワークを取り入れる
・育児休暇の積極的な取得奨励
・従業員子息への学資補助
・従業員・家族の健康管理の充実
など、人事や福利厚生の面からSDGsに取り組むことは、従業員を雇用している企業にとっては大きな課題の一つではないでしょうか。

SDGsの取り組みは社外に向けて行うと思っている方も多いのですが、従業員やその家族も立派なステークホルダーです。「従業員を大切にする会社」は、どのようなブランディングの方向性にもプラスに働きます。
むしろ「中小企業だから仕方がない」と皆が思っているようなことに対してSDGsへの取り組みをするのがおすすめです。「より先進的な企業だ」というイメージアップができ、企業のブランディングを加速させることができます。

日本企業の事例としては、外務省のWEBサイトにて取り組み事例集があります。企業規模にとらわれない内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/case/org1.html?fbclid=IwAR0QytKzLkrAPR7J77_0XIsaQRTOtjlgzKewK84KMCaItvZGkAKj0AO10kE

 SDGsブランディングで得られるメリット

 SDGsブランディングに取り組むことは、長い目で見ると大きなメリットを企業にもたらします。

具体的には以下のようなものがあります。

・企業イメージの向上
・企業の信頼性の向上
・商品、サービスへの信頼性の向上
・新規市場開拓
・社員のモチベーションアップ
・外部環境による影響を抑制

これらのメリットは、一朝一夕に結果が出るものではありませんが、SDGsに誠実に取り組むことで、確実に成し遂げられるものです。
また、SDGsを意識することで、新しい製品やサービスの開発につながることもあるかもしれません。SDGsブランディングから生まれる新規ビジネスが、これからはより一層増えていくでしょう。
SDGsブランディングは、目に見えてすぐ効果が出るとか、売上が上がるといったものではありません。しかし、コロナ禍の中で企業の真価が問われる今こそ、未来に向けて持続可能な企業になるためには必要不可欠なのです。

「じゃあ、すぐにでも取り組まないと」と思われたかもしれません。
SDGsへの理解が浅い状態で経営方針を掲げても、うわべだけのきれい事になってしまいます。消費者が、SNSなどの情報を得る手段を多く持つ現代では、企業の顧客や従業員に対する姿勢がすぐに白日の下にさらされてしまうのです。
SDGsについては、経営者だけでなく、従業員に至るまで、概念とその重要性、自社が取り組む意味について「腹落ち」することが必要です。
しっかり理解を深めてからブランディングに生かしていきましょう。