SDGsブランディングの始め方 後編

SDGsブランディングの始め方 後編のイメージ

SDGsをブランディングに取り入れるためには、まず何からはじめたら良いのでしょうか?
実は、企業の根幹に関わる問題です。SDGsブランディングについて、取り組みたいことを順序立てて解説します。

経営理念やパーパスを見直す

SDGsブランディングにおいて大事なのは、自社の経営理念を見直し、パーパス(存在意義)を定義することです。
「パーパス(Purpose)」とは、学校英語で「目的」と習う単語ですが、経営学においては「存在意義」と訳すことが多いです。

「また新しい英語が出てきた」と思われるかもしれませんが、実はパーパスは経営理念と非常に近いもの。
「自分たちがどのような存在意義があるか」を、言葉でシンプルに表現したものがパーパスなのです。

例えば「お客様満足度NO.1」という経営理念を掲げている企業があるとします。
これは「自分たちが何者でありたいか」というミッションを表現してはいますが、存在意義ではありません。

逆に、御社の経営理念が「自社の商品やサービスを通して、どんな世の中を作りたいか」を訴えるような経営理念であれば、それは社会における存在意義、つまりパーパスと同一であるといえます。
もし、自社の経営理念があくまで自社のみのことについて言及しているようであれば、「自社の取り組みでどのように社会に貢献するか?」を改めて考え、パーパスとして再定義することです。

経営理念とパーパスをしっかり定義することで、ぶれない SDGsブランディングへの第一歩を踏み出すことができるでしょう。

SDGsブランディング戦略とコンテンツ

 

自社のSDGsブランディング根幹となるパーパスができたら、それをどのように社外にアピールするか、戦略をたてる必要があります。
自社のSDGsへの取り組みを発信するようなコンテンツを作り、広く社外に広報活動を行うことは非常に重要です。
具体的にはどのような方法があるのでしょうか。

近年では、自社WEBサイトにおいて「我が社のSDGs」といった記事を掲載することが非常に多くなっています。
 【自社のSDGs取り組み紹介例】
・株式会社浜屋
https://hamaya-group.co.jp/sustainability/sdgs/
・株式会社アルプス技研
https://www.alpsgiken.co.jp/corporate/sdgs.html

また、「オウンドメディア」は、多くの企業が実施している施策の一つです。
その中に
SDGsに関する記事を作成して掲載することで、より具体的に取り組み内容を伝えることができます。
 【SDGsオウンドメディア例】
・協和発酵キリン株式会社「Mirai Port
https://www.mirai-port.com/
・朝日新聞社「2030 SDGsで変える」
https://miraimedia.asahi.com/
 

近年はYouTubeなどの動画コンテンツも盛んです。外務省もSDGsに関する情報発信をしています。
 【例】
・【外務省×SDGs】「行動の10年」できることから始めよう!
https://www.youtube.com/watch?v=DD4QtkZWkYw

雑誌などに広告を打つという手もありますが、ご自身がそういう記事を読むか?と考えた場合、費用対効果を考えると、オウンドメディアや動画作成の方がおすすめです。

ブランディング戦略におけるコンテンツ作成の注意点

コンテンツ作成において注意したいのが、「ブランディング」で行う以上「ちゃんと作る」と言うこと。
特に企業ブログ的なコンテンツにありがちなのが、文章や写真などが「いかにも社員が作りました」的なものになっているケースです。
全世界に発信することになるので「手抜き」と思われては意味がありません。

コンテンツ作成についてはある程度の予算を確保し、制作には、プロのカメラマンやライター、映像クリエイターをアサインすることで、できる限りクオリティの高いものを作成しましょう。

SDGsブランディングは企業CMではないので、いわゆる「バズる」必要はありません。しかし、会社の企業理念・パーパスをきちんと汲んでくれ、丁寧な仕事をしてくれるメンバーをそろえる必要があります。予算が厳しいのであれば、クラウドソーシングサイトなどで直接募集するというのも一つの手です。

SDGsに関するコンテンツはまだ数が少ないため、内容がしっかりしていれば、大企業ではなくてもメディアから注目される可能性は高いでしょう。
「長く使える広告を作る」という気持ちで取り組んでください。

SDGsやCSRのレポート制作

SDGsは「取り組んでいます」で終了ではありません。
・取り組んだ結果どうなったのか
・見えてきた課題は何か
・それを元にどのようなステップを踏み出すのか
言いっぱなし、やりっぱなしではなく、取り組みと結果についてしっかりと振り返り、その内容を冊子やPDFによる報告書やレポートにまとめて開示する必要があります。

【例】
・株式会社タカヤマ CSRレポート
https://www.takayama.org/csr/report/
・株式会社大和ハウス サステナビリティレポート
https://www.daiwahouse.com/sustainable/csr/esg/csr_report/?page=sj

レポートの作成に当たっては、それぞれの目標に対してどのような取り組みをしたか、その結果どうなったかという情報を収集しなくてはなりません。

「なんだか面倒くさそう」と思われるかもしれませんが、SDGsに取り組むという前提で、
・新たに自社の事業・サービスの社会的意義を見直し、パーパスを設定すること
・情報発信できるような取り組みを行い、対外的に発表すること
・取り組み内容と結果をまとめ、レポートを制作すること
これらの活動を行うことは、結果的に現在の経営方針を振り返ることになります。

もし、すでにSDGsへの取り組みを行われているとしたら、それらを発信することで他企業への情報提供にもなるでしょう。
「自社ではできている」と思っていたことが、結果を見てみたら方向転換した方が良いことかもしれません。

SDGsに取り組むことは、企業経営のあり方を見つめ直すことなのです。