従業員満足度を高めるインナーブランディングの具体的な施策とは?

従業員満足度を高めるインナーブランディングの具体的な施策とは?のイメージ

職場環境や働きがい、マネジメントについて従業員の満足度を表す指標となる従業員満足度。
従業員満足度を高める方法として、インナーブランディングという手法があります。
従業員に企業理念や企業価値、目指す方向性などを理解してもらい、会社への愛着心が湧けば
企業にとって様々なプラス効果を生み出します。

本記事では、インナーブランディングによってもたらされる効果、インナーブランディング施策のノウハウ、注意点について解説します。

 

 

 

インナーブランディングとは

インナーブランディングとは

インナーブランディングとは、従業員や株主など社内に向けて行うブランディングのことで、
社外に対して行う企業ブランディング(アウターブランディング)とは対極的な意味を持つ言葉です。
テレワーク導入や副業解禁などの働き方改革を機に、従業員のモチベーション維持や従業員満足度の向上を重要視する企業が増えています。
インナーブランディングの目的は、企業理念や企業ブランドの価値、今後の方向性などを従業員の共通理解とすることです。

そうすることで、企業が社会や顧客に向けて発信するアウターブランディングとの一貫性が生まれ、
従業員が企業理念の共通理解のもと、一致した姿勢で業務に取り組めます。

インナーブランディングの効果

企業ブランドに愛着を持ち帰属意識が高まれば、組織力の強化も期待できます。
特に、昨今の感染症対策としてのテレワーク導入や時差出勤などにより、従業員間のコミュニケーションの希薄化、
チームから個人主体の業務による帰属意識の低下などを企業は不安視しているのです。

そのための施策がインナーブランディングであり、企業理解を深め従業員の目指す方向性を一致させることで、
従業員一人ひとりが目標実現のために積極的に行動を起こせるようになります。
以上により、企業価値、生産性、商品やサービスの品質など相乗的な向上が見込まれ、結果的に従業員満足度の向上に繋がります。

そもそも、企業がインナーブランディングに着目する理由には、従業員の離職率を下げたい目的もあります。
離職率が高いと、社外にも社内にも良いイメージを与えません。
労働環境が悪い、人間関係が悪い、給与が低いなどのネガティブなイメージを持たれてしまうことがほとんどです。

せっかく育てた人材が短期間のうちに離職することになれば、企業の成長もありません。
新たに雇用する人材のための先行投資も必要になるため、コストも余計にかかることになるでしょう。
離職率は採用やステークホルダーの心象に関わることでもあり、企業ブランド力にも影響します。

その点、インナーブランディングができていれば、企業に愛着を持ってもらい、組織への帰属意識も高まります。
転職による離職を防止できる他に、育児や介護などで離職した従業員の再雇用にもつながるでしょう。
現場を離れても、また働きたくなる会社というブランディングは、現従業員にとっても喜ばしいことです。

企業風土として定着すれば、従業員満足度にも影響しますし、対外的な企業の評判も上がります。
評判の良さは強みとなり、採用の場での優秀な人材に向けたアプローチもしやすくなります。
終身雇用が美徳とされていた時代は終わり、転職によるキャリアアップを目指すケースも多い昨今ですが、
優秀な人材の流出を防ぐこともインナーブランディングの大きな目的のひとつといっても過言ではありません。

インナーブランディングが高ければ、アウターブランディングも必然的に着いてくるものです。
そのためにも従業員満足度を高めることが企業の課題と言えるでしょう。

従業員満足度を高めるインナーブランディングの施策

インナーブランディングの施策として、企業が取り入れやすい主な方法を4つ紹介します。

コミュニケーションの場を増やす

従業員満足度を高めるインナーブランディングの施策

チームのコミュニケーションがスムーズにいかず、やりにくさを感じているチームリーダーもいるようです。
相互理解を深めるためには、積極的なコミュニケーションが不可欠です。
しかし、対面でなくテレワークの多い職場では、それすらもままなりません。

自社にとってどのようなコミュニケーションが取りやすいのか、様々な方法を検討しましょう。
SNSでの情報発信や共有、コミュニケーションツールを活用したグループチャットやオンラインミーティング、
社内イベントなどが考えられます。
テレワークなどでは、従業員同士の働きぶりが見えないのも孤立を感じる原因と見られます。
日報でお互いの業務報告をしてスタンプやコメントを送り合うのもコミュニケーション活性化の一助となるでしょう。

企業のMVVを視覚化する

ミッション(Mission=使命)、ビジョン(Vision=将来像)、バリュー(Value=価値観)を略したものがMVVです。
日本でも話題を呼んだピーター・ドラッカーの著書の中で提唱する、企業経営におけるマネジメントの根幹ともなる概念です。
ただし、企業独自のMVVを掲げられても、従業員ごとにその概念を正しく認識されているかは定かではありません。

全従業員の共通認識とするためには、噛み砕いてわかりやすく理解できる工夫が必要です。
社内報やWebで画像や映像などにして視覚化して説明すれば、より理解が進むでしょう。
画像やイラスト、図表などを使ったり、経営者のメッセージを動画にして配信したりする他、
採用活動のパンフレットやポスターなども効果的に活用できます。

体験型・交流型のワークショップの開催

従業員満足度を高めるインナーブランディングの施策

インナーブランディングの施策として、セミナーや講座、研究やグループ学習などのワークショップを実施するのも有効です。
従業員同士の意見交換で親睦を深めたり、部署を越えた交流で学びを得たりと多くの知見を得ることが期待できます。
特に、体験型のワークショップなら、より実践に即した形で企業が求めるスキルや行動指針が伝わりやすいものです。

ゲーム的要素を取り入れた交流型のワークショップなどでも、職位を超えた従業員同士の関係性が構築でき、
組織の活性化にもつながるでしょう。
講師を招いたセミナーや講座もいいですが、従業員が自発的に発言したり行動したりするワークショップは、
得るものが多いと注目されています。

行動指針を記載したハンドブックの作成

企業理念に基づく行動指針などは、細かな要素に対してイメージしやすいように文章でまとめたほうがストレートに伝わりやすい場合があります。
社内マニュアル的に、従業員が迷わずに済むよう指針をハンドブックなどにして示すことで
企業としてのぶれない一貫性が保たれるでしょう。

携行できるサイズのハンドブックを作成して従業員が常に携帯すれば、浸透しやすく理念に反する行動の抑止にもつながります。
具体的にしっかりと策定された行動指針なら、従業員が業務を行ううえで心の拠り所として頼れる存在になるでしょう。

インナーブランディング実施時の注意点

インナーブランディングは、無計画に闇雲に進めないことが重要です。
全社的に一体感を持って取り組むべきであり、念入りな準備と計画が欠かせません。
インナーブランディングを進めるうえでの注意点を解説します。

企業のビジョンを明確にする

インナーブランディング実施時の注意点

MVVについては先述しましたが、企業のビジョンは現状に即したものになっているでしょうか。
理想ばかりを追い求めて従業員が実現できないようなビジョンでは意味がありません。
また、難解なわかりにくい概念を掲げても正しく内容を理解しているとは限りません。

従業員ごとに、誤った解釈をする可能性もあります。
明確かつ合理的で説得力のあるビジョンでなければ、なかなか従業員の共感は得られないでしょう。
ビジョンが曖昧なままでは、適切な行動指針も示せません。
企業が目指す将来像や未来の方向性など、従業員が持つイメージと乖離しすぎないよう、
具体的な数字で示すなどしてシンプルに明確に伝わるように工夫する必要があります。
もちろん、全従業員に周知徹底して浸透させることが重要です。

目標を設定して計画的に取り組む

インナーブランディングの施策は上述しましたが、どのような方法でどう進めるのか、入念な計画が必要です。
短期間に集中して行っても成果は上がりにくいものです。
早急に収益につながるものでもありません。
長期的な戦略をもって、継続して行うことが大切です。

そもそも、インナーブランディングの効果は目に見える変化がわかりにくいこともあります。
効果を測定するには、社内アンケートなどで数値化するのがおすすめです。
また、自由記述などで従業員からの希望を把握することで、今後の改善ポイントも見えてくるでしょう。

インナーブランディングは短期決戦ではなく、少しずつ効果を見ながら試行錯誤することが多い手法。
目標を明確にして、長期的なスパンで取り組む必要があります。
短期間での成果を求めずに、施策の計画、実施、評価、改善など、PDCAサイクルを回して
少しずつでも着実に効果を上げることを考えましょう。

 

一方的な押し付けにならないよう気を付ける

どれだけ崇高な企業理念を掲げていても、従業員に受け入れられなければインナーブランディングを高めることにはなりません。
あまりにも押し付けがましい方法では、逆に敬遠されてしまいます。
たとえば、従業員に共通理解を促そうと、企業理念やブランディングをまとめた冊子を作って配布し、
期限までに感想文を提出させる手法もあります。

冊子を作ること自体は、企業理念やコンセプトを事あるごとに定期的に発信する方法として有効ではありますが、
無理に読ませて内容を把握しなければ書けない感想文の提出を強いることは妥当ではありません。
一方的な押しつけは、反逆精神や反骨心が生じるきっかけにもなるため、気をつけたほうが良いでしょう。
押し付けがましさが目につくと、せっかく企業理念に賛同して入社した従業員でも、煩わしく感じることもあるものです。

インナーブランディングを高めることが従業員満足度につながる

インナーブランディングを進めるためには、企業理念やMVVを明確にわかりやすく伝える工夫が必要です。
従業員の共感を得て、会社組織への帰属意識を持ってもらうためには、従業員満足度の向上が不可欠
企業の成長のためにも、自社に適したインナーブランディングの方法を検討して、長期的スパンで実行することをおすすめします。

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